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インディゴ染めを
気仙沼から。 太平洋を隔てて生まれ故郷の
北米市場をねらう

自らが手がけるインディゴ気仙沼のストールを手に持つ代表の藤村さやかさん

畑から手渡しできる距離感で田舎の豊かさを届けたい

インド藍を使ったインディゴ染め作品の製造・販売を行うインディゴ気仙沼。代表の藤村さやかさんにお話を聞きました。

毎日管理をしているインデイゴのかめ。

インディゴ気仙沼は、子育て中や家庭の事情によりフルタイムで働くことが難しい女性たちに働く場を提供しようと、3年前に立ち上げられました。代表の藤村さんは気仙沼在住のご主人と結婚し、出産のタイミングで気仙沼に移住しました。それまでは東京で、飲食メーカーや飲食店と生活者の間に立って、イベントやツアーを企画する会社の代表をしていました。幼少時代は米国ミシガン州で生まれ育ち、グローバルな視野と、新しい環境になじんでいくしなやかさ、何よりまわりを巻き込んでいく明るいエネルギーがあります。

染色作業中の藤村さん。

そういったバックグランドを持つ藤村さんが新米ママとして子育てをしていると、あることに気付きました。まわりの母親たちは仕事をしたがっているのに、地方都市では生活スタイルに合う職が限られ、やむを得ず社会復帰をあきらめている人が多かったのです。そんな状況を改善できるのではないかと、同じように困っているママたちと共に、染色工房を立ち上げました。

独身時代に培ったマーケティングスキルで、これまで藍が産業として存在していなかった土地・気仙沼で染色し、製品を企画し、販売へと進めていきました。途中で何かあってもやり方に固執せず、臨機応変に軌道修正をしていき、ビジネスとして成立させるまでになりました。

昭和8年竣工の歴史的建造物に工房を構えるインディゴ気仙沼。

活動を始めて、今年で早くも3年目。クラウドファンディングに挑戦したり、数々のビジネスコンペに応募したりして発信をつづけ、ファン層を広げながら、インディゴ気仙沼は直接的にも間接的にも、女性の働き手の数を増やしてきました。

既存事業に加え、新規事業として日本初のめずらしいインディゴ植物の栽培にも挑戦するなど、その事業スタイルが国内外から注目されています。

そもそもなぜインディゴ染めだったのか?
彼女に問うと、その答えはシンプルです。

「この土地のものを活かしたビジネスをしたいと考えたときに、『気仙沼=海=ブルー』というイメージ連鎖から、マーケティングしやすい商材だと感じたからです。あの頃は子どもが8か月になったばかりで、授乳もしていましたので、赤ちゃんをおんぶしながら空いた手で染められるというのも大きな理由でした。なんか、いいですよね。手でできるしごとって。」

当初から、気仙沼が面している太平洋を隔てた北米市場を見据えていたといいます。自身が育ったアメリカから見て、クールで受け入れやすいインディゴ染め。それを日本の地方都市の女性たちがつくり、販売する。その読みのとおり、現在、売上の何割かはアメリカ市場との取引になっています。

染料から生地を引き上げたところ。工房で働く女性たちの爪はきれいなインディゴブルーをしている。

藤村さんらはまったくの経験なしに、染め技術をゼロから手探りで始めたため、習得するまでは、平たんな道のりではありませんでした。最初は徳島からタデ藍を仕入れ、簡易的にできる「化学建て」という方法で染料づくりをしていました。そのうち、子どもたちが走り回っている工房で人工添加物をつかうことに違和感を覚えるようになり、インディゴアーティスト・タツミキ氏のもとに通うようになります。そうして、天然原料100%の染料づくりへと移行してきました。今でも染料のレシピはかたまっておらず、季節によっても変えたりと試行錯誤しながら、日々調整をしているそうです。

天然インディゴの高い抗菌性・防臭性・保温性・抗菌効果

一枚いちまい、女性たちの手で染められた生地には、天然インディゴならではの効能である、抗菌性・防臭性・保温性・UVカット効果があります。

染色前と染色後の生地では、抗菌効果が2倍以上に。また紫外線遮断率がUPF50+と、染色することで世界最高峰レベルの日よけ効果がプラスされています。首もとを紫外線から守るストールは、今では工房の看板商品に。

市内で管理している畑で野良仕事。

インディゴ気仙沼が次に掲げる目標は、原料となる植物の自家栽培です。日本で一般的に藍染めに使われるタデ藍の試験栽培を経て、今では「パステル」という、世界的にも希少なインディゴ植物の栽培を手がけています。パステルは生育環境を選ぶ、手間のかかる植物ですが、気仙沼の気候にピタリとマッチしました。

耕作放棄地を活かし、地元農家の方々の知識と協力を得ながら昨年、収穫した葉っぱから青色色素を取り出すことに成功しました。今年からは作付を増やし、5年後には自社原料に切り替えることを目標にしています。

商品にもなっている作業着を着て、葉っぱの収穫をするスタッフら。
パステルから青色色素を取り出すにも、何通りも試行錯誤しながら。

はじめての土地・気仙沼で、困っている女性たちといっしょに、当事者として一歩を踏み出した藤村さん。これまで経営者として培ってきた都心部の人脈と、あたらしく仲間になった気仙沼の方々と協力しながら、「田舎の豊かさをひろげていきたい」と着実に大きく育てていっています。

当初からグローバルなビジネスにしようとしていたのは、マーケットを世界に広げることで、ローカルを豊かにするという狙いでした。そして、ただ事業を立ち上げるのではなく、新しいビジネスによって女性が工夫次第で自分たちの収入を上げ、生き方の選択肢をひろげていくことが喜びだと語ってくれました。

「植物から抽出されるのは、地球が本来もっている自然の色。その色を生地にのせて、お客様のもとへ届けたい。天然の色をまとうこと、それがわたしたちの考える生活のぜいたくだからです。」さまざまなライフステージにいる女性の生き方が模索されている気仙沼で、限られた時間を持ち寄り、女性たちが地域に新しい伝統をつくろうとしています。畑から手渡しできる距離感で、インディゴを届けたい。女性たちの挑戦は、はじまったばかりです。

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写真:インディゴ気仙沼提供+飯本貴子